SoftBank ウインターカップ2024 第77回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート⑲】スター軍団を安定させた“影のエース”──開志国際 #8 高野拓泉

2024年12月27日

「今年の開志国際はどうしても自分たち 4 人が表に出ますけど、このチームは高野がいないと安定しないので、自分たちは彼を “ 影のエース ” だと言っています。本当に感謝しかないです」

 SoftBank ウインターカップ2024の準々決勝で福岡第一に惜敗 (63-70) した後、開志国際の #4 清水脩真選手は涙ながらにこう話しました。「高野」とは、#8 高野拓泉選手のことです。

 清水選手が言うように、今年度の開志国際でフィーチャーされるのは彼と #5 平良宗龍選手、#6 千保銀河選手、そして #14 ネブフィ ケルビン シェミリー選手の 4 本柱です。昨年度から先発として活躍してきた彼らは、名実ともに開志国際の顔。福岡第一戦 (63-70) でも、全63得点をこの 4 人が記録しています。

 そんな中でなぜ、清水選手は高野選手を “ 影のエース ” と呼んだのか。それはこの試合の得点以外の彼のスタッツからも垣間見えます。出場37分42秒、リバウンド10本 (うちオフェンスリバウンド 4 本)、アシスト 3 本。まさに影の活躍です。

 今年度に入ってからは大物ルーキーの #13 髙橋歩路選手が先発を務める時期もありましたが、「最終的に彼をスタートにしたのは、やっぱり粘り強いリバウンド。今日もいいところで取ってくれたり。ケルビンも外を打つ選手なので、高野のような役割ができる選手が必要なんですよ」とは富樫英樹コーチ。スター軍団がまとまるためには、やはり高野選手のようなブルーワーカーが大切になってくるわけです。

 ただ、当の本人は自身のパフォーマンスについて「何もできなかった」という厳しい評価を下しています。「(リバウンドなどの) 仕事をこなすのは当たり前だと思っていて、そこからさらに点を取るとか。そういうところをもっとしていかなければなりません」

 泥臭い貢献は当然として、今大会ではそれ以上の貢献ができて初めて自分に合格点が出せる──高野選手はそう考えていました。

 自身の役割を真に理解したのはこの秋に開催された「U18日清食品トップリーグ」だったと言います。「トップリーグでリバウンドで負けている試合があったのですが、そこで自分が出て流れを変えることができました。そのときに自分の役割はこれなんだと確信しました」

 先に記したようにスタッツ上では彼のリバウンドは10本です。これは素晴らしい数字ですが、リバウンドにつながるティップや相手ビッグマンへのボックスアウト、味方のドライブレーンを空けるためのシールなど、数字に残らない部分も彼の貢献です。清水選手はこう話します。「高野のプレーがどれだけチームにとってプラスに働いているか、オフェンスでもディフェンスでも彼がインサイドでどれだけ体を張ってくれるか。この 1 年間は体が痛いときでも試合に出続けてくれましたし、どんなに苦しい場面でも高野がリバウンドでつないでくれました」

 泥臭いプレーは数字には残りづらいものです。そういった活躍を理解するためには実際に試合を見る、あるいは一緒に戦うしかありません。だからこそ、富樫コーチや清水選手からの賞賛の言葉には、より価値があるのです。
 開志国際 “影” のエース。最高の勲章です。

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