SoftBank ウインターカップ2024 第77回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート⑬】高校 3 年間で初の全国大会となった富田のエース #5 保坂斡希「富田に行ってよかった」

2024年12月25日

「今年は全国大会に出るためには美濃加茂 (総体②) と高山西 (岐阜) に勝たなくてはいけなかったのですが、どちらもゾーンディフェンスをするチームではなかったため、ゾーンブレイクに関してはほとんど一年間手をつけていませんでした。それで八王子学園八王子 (東京①) の特殊なプレッシャーの強いディフェンスに対して準備はしていたけれど、最初に少し浮き足立ってしまったのかなと思います」

 SoftBank ウインターカップ2024の男子 2 回戦、村田竜一コーチが言うように、自らのミスから失点もあった富田 (岐阜③) は、八王子に対して序盤で大きく点差を付けられてしまいます。それでも、「本来ディフェンスから入るチームなのにそこが少し弱気になっていたので、ディフェンスのプレッシャーを強めて、そこから自分たちのリズムが取り戻せたと思います」(村田コーチ) と、第 2 クォーターではディフェンスで活路を見出し、追随。攻めては #5 保坂斡希選手が連続で得点を挙げると、それをキッカケに本来の動きが戻ります。

「うちは保坂が乗ればチームも乗るし、保坂が止められると、みんなも動揺してしまう。正直、今日は (保坂の) 気持ちが入り過ぎているかなとは思ったのですが、(試合の中で) よくカムバックしてくれたと思います」と、村田コーチ。

 最終的には第 3 クォーター終盤から八王子に離されて 61-80 で敗れましたが、エースの保坂選手は33得点。それだけでなく、5 アシストと味方の得点も演出しました。

 その保坂選手について村田コーチは「点を取るけれども周りも生かす。彼の将来像としてそうなっていかなくてはいけないと思います。(この先) ずっとスコアできるわけではないし、大型ガードとしての可能性を秘めた選手なので、スコアと味方を生かすことのバランスがうまく取れるようになったときにはナショナルチームに行ってくれるのではないかと期待しています」と評しました。

 保坂選手自身も「点を取ることが好きなのですが、ガードも好きなので、攻撃的な点を取るガードを目指しています。どこのチームも自分をつぶしてくることは分かっているので、(状況を) 見ながらアシストするというのをいつも頭に入れています」と、言います。

 そもそも、保坂選手が富田に入学したのは中学 3 年生のときに当時富田のエースだった高橋快成選手 (現・岐阜スゥープス) を見てから。「兄からすごいとは聞いていましたが、練習に行って見たら圧倒されて、自分もこんなふうになりたいと思いました。それと、富田のスタイルが好きだったので行きたいと思いました」と、言います。そこには兄 (晃毅 / 神奈川大学 4 年) のアドバイスもあったと言います。

「彼は自分で感じ、いろいろなことを学んでいく選手。そういう意味では彼の個性を消さないようにしてきました」と、指揮官は保坂選手の 3 年間を振り返ります。対して保坂選手も「一番伸びたのはコミュニケーション能力。自分がチームみんなを引っ張らないといけないので、そこが伸びたと思います」と、自身の成長について語りました。

 今回のウインターカップは、保坂選手にとっては高校 3 年間で最初で最後の全国大会となりました。

「(進学先を) 富田でなくてもよかったのではないかとか、悔しいことを言われてたこともありましたが、自分は富田にしてよかったと思っています。悔しいこともあったけれど、最後に全国で自分たちのバスケットを見せられたので良かったです」と、保坂選手は力強く発しました。

「今年一年ずっと歯がゆいゲームが多く、自分たちで自滅してしまうところもあったのですが、今日は最後までファイトしてくれたので、やっとですね。ここに来ることができて本当に幸せです」とは村田コーチ。

 敗れた悔しさもありますが、富田は 3 年ぶりのウインターカップという舞台でしっかりと自分たちのスタイルを披露し、夢の舞台を後にしました。

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