【現地レポート④】「チームのために点を取って、チームのために守って」正智深谷 #6 中武優羽
2024年12月23日
「SoftBank ウインターカップ2024 令和 6 年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会」が、いよいよ開幕しました。
男女計48試合が繰り広げられた大会初日。男子 1 回戦屈指の注目カード、東海大学付属諏訪(長野)対正智深谷(埼玉)の一戦は終始ハイレベルなプレーが連発する見応えあるものとなりました。互いに粘り強いディフェンスを土台とするチームだけに、序盤から両チームなかなか点が取れず。中でもインサイドの攻防はし烈を極め、リバウンドやルーズボールで両チームの選手が激しく体をぶつけ合いました。
フィジカル勝負の中でじわじわと点差を広げていったのは正智深谷。#8 早船哉斗選手のドライブや #15 佐々木寧選手の 3 ポイントシュートなど、インサイドを狙いながらも要所でアウトサイドから得点していくと、守ってもペイントで簡単にシュートを打たせず、起点となる #1 渡邊大翔選手には #4 グビノグンオザセデロック選手がぴたりとマーク。前半を 42-28 で折り返すと、後半にはディフェンスからリズムをつかんで最大21点のリードを奪い、最後は 83-68 で初戦突破を決めました。
「今日はとにかく守り合ってロースコアで展開していって、どこかでチャンスを見いだして離そうというプラン通りにいった試合でした。向こう(東海大学付属諏訪)にストレスを与えて気持ち良く走るのがうちのスタイルで、そこで佐々木なんかの 3 ポイントが要所できれいに決まってくれたので、今日は良い試合内容でした」
正智深谷の成田靖コーチは安堵の表情で試合を振り返りました。スタメン全員が 2 桁得点を記録したオフェンスと、相手を68得点に封じ込めたディフェンス。攻防のバランスが取れた開幕ゲームだったと言えるでしょう。
中でもブルーワークに徹してチームに貢献したのが #6 中武優羽選手です。193cmの長身と100kg近い立派な体格を持つビッグマンは、インサイドの激しい攻防で体を張り続けました。スタッツは11得点、7 リバウンドとそこまで派手な数字ではなかったものの、味方のドライブレーンを空けるためのシールやリバウンド時のティップ、オープン 3 ポイントのお膳立てなど、潤滑油としての立ち回りは見事でした。
ですが、本人は「今日の出来は100点満点中10点か20点ぐらい。オフェンスでもディフェンスでも全然チームに貢献できてなくて、自分が足を引っ張いました」と厳しい自己評価。「もっと中で面を取って自分で点を取ったり、ディフェンスでは自分とボールマンのディフェンダーで、オンボールプレーヤーを潰してからスティールに持っていく部分ができていれば、自分の中では100点です。でも、今日はボールを受けても逃げてばかりで、ディフェンスでも全然チームに貢献できていなかったので、明日以降に改善したいです」と、今日の出来は自身の最低限だと語ります。
成田コーチも「(中武に)もっと華やかな点を取らせてあげたい」と話しており、中武選手がノッてくればチーム全体としても一段階上の力を発揮できると信じています。中武選手も「ゴール下でチームのために点を取って、チームのために守って走って、ということを 1 年間通してずっとやってきたので、もっと自分が点を取ってチームを勢い付けるようなプレーをすることが目標です」と、あくまでもチームがより良いゲームをするために自身の活躍が必要であることを理解しています。
今年の正智深谷には前述した早船選手や佐々木選手など、下級生にも個人技に優れた選手がそろっています。味方がその才能を伸び伸び発揮するためにも、中武選手の活躍が必要になってくるでしょう。「次の試合からは勝ち上がればずっと留学生(がいるチームとの対戦)が続くと思うので、留学生に当たり負けせずにしっかりと中で点を取れるようにしていきたいです」。中武選手はそう決意を込めて、会場を後にしました。