【現地レポート⑩】ライバルへの敬意を込めた泥臭いディフェンス――精華女子 #4 清藤優衣
2024年12月25日
大会 3 日目を迎えた「SoftBank ウインターカップ2024」。女子 3 回戦、男子 2 回戦が行われ、女子は本日の結果でベスト 8 が出そろいました。
第 1 試合、浜松開誠館 (静岡) と精華女子 (福岡①) が対戦。注目となったのが、両チームのエースである #5 後藤音羽選手と #4 清藤優衣選手です。2 人は今年 7 月、女子U17日本代表として「FIBA U17 女子バスケットボールワールドカップ2024」に出場し、ともにスタメンでプレーした経験を持ちます。互いにプレースタイルを知り尽くした同士、攻防でどんな働きを見せるのかが見どころとなりました。
両チームは、昨年のインターハイ 3 回戦でも対戦。しかし当時は清藤選手が膝のケガで離脱していたため、全国大会でのマッチアップは今回が初めてです。前日の 2 回戦後、後藤選手は「たぶん自分が清藤選手とマッチアップすると思うのですが、彼女はジャンプシュートなどもうまいので、粘って付いていけたらと思います」とコメント。一方の清藤選手も「浜松開誠館に対しては後藤さんをどれだけ守れるかがカギになるので、ディフェンスの強度を上げて自分たちの強みを出したいです」と話しており、それぞれ強く意識している様子でした。
いざ試合が始まると、精華女子はまず177cmのサイズがある #7 下川蒼乃選手を後藤選手にマークさせました。すると後藤選手は、ジャンプシュートやドライブなど、アウトサイドから強気に攻めて得点を量産。手を焼いた精華女子はファウルがかさみ、リードはしているものの何度も追い上げられて突き放せない状況でした。そこで流れを変えるためにも、マッチアップを変えて清藤選手が後藤選手をマークします。
清藤選手は、女子 U17 日本代表のキャプテンでもある後藤選手のことを「身長も大きくて自分とはミスマッチになりますし、本当にオールラウンドに攻めてくるので守るのがすごく大変な選手です」とリスペクト。だからこそ、彼女の華やかなプレーを封じるべく、「とにかくフィジカルで負けないように、体を当てて守ることを意識しました」と、相手を嫌がらせるような泥臭いディフェンスをしつこく仕掛けました。
これがボディーブローのように効き、徐々に削られた後藤選手は第 1 クォーターが 9 得点、第 2 と第 3 クォーターが各 7 得点、第 4 クォーターが 2 得点と徐々に失速(計25得点)。精華女子の大上晴司コーチも、清藤選手のディフェンスについて「昨日の試合でプレータイムを抑えることができたので、あまり疲労なくこの試合に臨めたと思います。本人も後藤選手とのマッチアップをどう楽しんでいけるかだと言っていて、タフに守ってくれましたし、後藤選手のリズムが少し狂ってきて周りもシフトしやすくなりました」と高く評価します。
一方、オフェンス面ではエースの清藤選手がディフェンスに徹する分、周りの選手たちが強気な姿勢を見せました。高さの利を生かすために、ガードの #5 中釜光来選手らがうまくパスを入れて、#44 アキンデーレ タイウォ イダヤット選手が44得点。こうして、粘って食い下がろうとする浜松開誠館を後半に入って突き放し、精華女子が 89-66 で快勝を収めました。
試合終了後、すぐに後藤選手と握手して挨拶を交わしていた清藤選手。良きライバルの無念も背負って、続く桜花学園 (愛知) との準々決勝には「チームでやってきたことを出し切って勝ちたいです」とすべてをぶつける構えです。