【現地レポート⑥】来夏に地元総体が控える倉敷翠松──『一心』をテーマに挑んだ貴重な 2 試合
2024年12月24日
選手全員に『一心』と腕に書かれた文字。
「ベンチに入れない子たちも含めて35人全員で戦うという意味を込めて一心です」と、倉敷翠松の #10 廣川絢音選手(3 年)は、その理由を教えてくれました。
「SoftBank ウインターカップ2024」の大会 2 日目。1 回戦を100点ゲームで勝利した倉敷翠松は、2 回戦で精華女(福岡①)と対戦しました。
試合は出だしに精華女子に連続得点を許し、第 1 クォーターで 7-28 と大きなビハインドを負います。そのまま「冷静さに欠けてミスが目立ってしまった」(白石理賀コーチ) という前半は 19-46 と大きく水を開けられてしまいました。しかし、後半は積極的にリングに向かい、粘りのディフェンスを披露。互角の展開を演じましたが、前半でついた差が大きく響き、最後は 56-83 で涙をのみました。
それでも、白石コーチが言うように、「誰もひるんでいなかったし、頑張りたいという気持ちで戦ってくれました」と、最後までアグレッシブにプレーしました。
この試合16得点を挙げた廣川選手は、中学校卒業のタイミングでバスケを辞めようと考えていたそうです。ただ、倉敷翠松の練習に参加したとき「すごく楽しくて、ここで 3 年間みんなと一緒に戦いたい」と感じて入学を決めました。「学年関係なく仲良く、全員で一丸となって声掛け合って戦うチーム。笑顔が絶えないチームだと思います」と、廣川選手は倉敷翠松のことをこう言います。その言葉通り、今大会でも全員バスケットを貫きました。
試合では 4 人の 3 年生がスターターとして出場しましたが、その 3 年生たちについて白石コーチは、コート内外問わず人間性を磨いてきたと言います。それこそ、「コロナ禍ということもあってか集団のイベントといったものを中学校のときに経験していなかったので、昨年の夏まではキャンプをしたり、カレーをみんなで作ったりといろいろとしました」と振り返ります。「素直でパワーのある子たちで (人として) 変わろうとしてくれましたし、まとまりのある学年でした」と、白石コーチは 3 年生について目を細めながら話しました。
その白石コーチは、倉敷翠松の卒業生。高校時代は全国大会で活躍しました。その後、大阪体育大学に進み、大学卒業すぐに倉敷翠松に奉職。最初はアシスタントコーチとしてバスケ部の指導に携わり、本格的に指揮官となって約 3 年となります。白石コーチが高校 3 年生のときに地元開催の国民体育大会 (現・国民スポーツ大会) が開催されたことから、「小学校 4 年生のときに選抜チームで韓国遠征をするなど、(国体に向けて) すごく育ててもらいました。その恩返しではないですが、指導者になりたいなと思っていました」と、コーチになった動機を語ります。
地元開催といえば、来年は岡山県でインターハイが行われます。「プレッシャーはないですが、盛り上げたいという思いはあります。結果を出したいのはもちろんですが、選手たちと一緒に高校生のモデルになるようなチームになりたいと思っています」と、白石コーチはこの先の抱負を笑顔で語りました。
そして 3 年生の廣川は、「今は試合にあまり出てない選手たちも一緒に底上げしてきた仲間なので、(スターターとして) 一緒に出ていた (2 年生の) オルショガ アヨミポシを中心に一丸となって戦ってほしいです」と、後輩たちへの思いを口にしました。
「素晴らしい経験」(白石コーチ) という今冬の戦いを経て、倉敷翠松は来夏のビッグイベントに向けてこれからも『一心』に戦っていきます。