【現地レポート③】『伝統』をつないだ岐阜農林 #2 小椋天花のラストシュート
2024年12月23日
「SoftBank ウインターカップ2024 令和 6 年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、ウインターカップ2024)」に出場している全120チームのうち、初出場は女子の 2 チーム。そのうちの一つが岐阜農林(岐阜③)です。
「サイズがないので、それをどうカバーするかをメインに取り組んできました。体の当て方を工夫するとか、相手の高さの利が出ないようにオールコートでディフェンスをするとか、そういったところを重点的にやってきました」(廣瀬卓哉コーチ)という岐阜農林は、23日の 1 回戦に登場。試合でも機動力を武器に土浦日本大学(茨城)に立ち向かいました。
前から当たる激しいディフェンスや速い攻めなどで試合の序盤は互角の展開に。しかし、第 1 クォーター中盤からは確実にシュートを沈めていく土浦日本大の前に点差を離されてしまい、最後は 52-87 で敗れました。
今年は岐阜女子(総体②)が東海大会で優勝、インターハイでも準優勝となったため、岐阜県のウインターカップ出場枠が 3 つに。その 3 枠目の出場権を見事、岐阜農林が獲得しました。初出場を達成できた理由を廣瀬コーチは「伝統だと思います」と答えます。そしてこう続けました。「もちろん、岐阜女子高校の成績があってのチャンスですが、(岐阜農林として)前から県 3 位になったことはありますし、今回チャンスをつかませてもらったのは以前の監督や過去のOGたちが一生懸命取り組んで結果を残してきてくれたから。土台をえ築いてきてもらったものの上に私も今の 3 年生も乗っかっているという感覚です。もちろん、今年の代の選手たちはすごく頑張っていますが、今年の代だから成し遂げられたわけではないと思っているので、本当に “ 感謝 ” を感じた大会でした」
また、廣瀬コーチはこのようにも語り、その先を見据えます。「岐阜女子高校の結果ありきで臨むのではなく、うちは県大会優勝を目標にしているので岐阜女子高校の取り組みを上回る取り組みをしていこう、それはどういう取り組みなんだろうと考えるところから始めています。そういった思いを持ちながらやっているとチャンスがあるということは示せたのではないかと感じます」
キャプテンの小椋天花選手も指揮官と考えは同じで、「これまでの大会でも 3 位という結果は出していました。今回(出場枠が)3 枠に増えたことで、今まで 3 位になってきたからこそ、絶対に落とせないと思っていました。ただ、落とせないとか 3 位を狙うのではなく、しっかりと上を見て全国出場を目指してやってきました」と、力強く発しました。
その小椋選手は、試合終了間際、ブザービーターでの 3 ポイントシュートを沈めました。廣瀬コーチは、このシュートについて「バスケットの神様はちゃんと見てくれているなと。素直で一生懸命に努力してきた選手だったっので。最後にああいう終わり方できた。日ごろ、気持ちを持ってみんなのために頑張っている選手のもとには、ああいうチャンスが回ってくるのだと感じました」と、声を詰まらせました。
対して、決めた小椋選手は「ボールもらったときに残り秒数が少なかったので、自分が打つしかないと思ったシュートでした。まさか入るとは思わなかったのですが、自主練習で同級生の子と遊びの感じであのあたりからシュートを打っていたので、それもちょっとタメになったのかなと思います」と、笑顔を見せました。
最後まであきらめないプレーを体現したキャプテン。その姿勢は必ずや後輩たちに引き継がれていくことでしょう。小椋選手は、「少ないプレー時間だったけれど少し試合に出られたと思うので、いい経験として、全国大会出場を目標にこれからも頑張ってほしいです」と、後輩たちにエールを送っていました。